最終話 旅を終えて
準備無しの旅でむしろその場にあって、感じたり思ったりすることを大事にしたかった。
下手なスケッチにしろ、しばらくの間対象に向き合うのに良かったと思う。
対象があまりに「ものスゴく」、明らかに描けそうにないというのは別にして、描こう、描かないの判断は何によるのだろうか?
好みをそこに見つけるのだろうか?気になるもの、気に入ったものに気持ちを向かわせ、意識の中にもストックしておきたい。
描くことで発見することが多くなり、納得したりする。
稚拙さは気にしない。
絵(パースや生活のシーン)が描けることは仕事上非常にプラスなので、訓練という意味もあるにはあった。
身近なところを豊かな領域にしていきたいと思う。
自宅や庭であったり、仕事であったり、仕事を通した人間関係であったり、様々なところでのことだ。
思えば、私達は毎日なんらかの小さな旅をしているわけで、それが面白いことがとても大事なことだと思う。
またそうするには、面白くしようという意志がどこかで働いていなくてはならないと思う。
若い時のように底の浅い比較文化論の世界に入らないようにしよう。
すぐに「日本は・・・」と言い出したくなる自分を自覚するけれど、ブレーキをかけよう。
単純な疑問とその答、当たり前の発見、驚き、テーマみたいなもの、そして一番大事なこと、仕事をしないということ、いくらかの人との出合い、
旅は何かを与えてくれるように思う。