千葉県柏市にある一級建築士事務所 游工房。オリジナルキッチンと天然素材のデザインリフォームを提案しています。

2005年04月07日

第17話 ヨークからラクスフィールドへ

7月8日(木)午前中小雨の中、現存している3分の2ほどの城壁をすこし歩く。
通りからは見れない建物の背後を見ることができた。
整然として隣接しあうフロントとは対照的に、それぞれの生活事情やライフスタイルが反映されて形となっている。
バックヤード(裏庭)にもかかわらず、多くはきれいに使われているように見えた。
(城壁側から見られていることを意識しているのかも知れないが。)例外なくと言ってよいほど、外用のテーブル・椅子・ ベンチパラソル等が置かれている。
構造上、内部にいて十分日射を得ることが出来ない、外に出るというのはこちらの人にとって、必要不可欠のことなのだろう。
城壁からの大聖堂の眺めを楽しんで、もう一度、前の広場から偉容を首をタテヨコにふって眺める。

その後、イングランドの東側を南下するようにしてラクスフィールドへ向かう。台風のようなものが来ているらしく今日は朝から雨。
今まで走ってきた西側と風景や建物の感じが違うようように思う。
「絵のような」西側に比べ「絵のようでない」風景や建物が結構見受けられる。
想像だが農・産業等の社会構造の違いかも知れない。 en017_01.jpg

6時頃、ドンとヨウコに教えられた村、ラクスフィールドに到着。
観光地でもなんでもない村だけれど、この地方には古い茅葺きの建物が方々にあるらしい。
村の教会前の広場に車をとめる。隣にコンビニのようなお店、反対隣はパブ、道路を挟んで木造のギルドハウス。 (村役場と博物館になっているらしい)
今日の宿を探すためその辺をうろうろ。庭いじり中のおじさんに訪ねると、コンビニの隣がそうだということで、案内してくれた。
看板は出ていないが玄関ドアのフレームに宿泊施設の小さなシールが貼ってあった。
出てきた大柄で温厚かつ知的な雰囲気のオーナー(60代前後のおじさん)は奥さんと相談して、 裏側のセルフケータリングの小屋を案内してくれた。

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玄関から廊下の先の庭に出て庭を通り、木戸の先にコートと背の低い小屋がある。
元馬小屋を改装したもの。 1600年代に建てられた母家は、医者が住んでいて馬が3頭飼われていたらしい。
テラコッタの床以外は白でまとめられている。
これまでのインテリアと違って明らかにデザイナーの仕事。
寝室が2つ、 ダイニングキッチン、居間。娘は私のいびきから今日明日と解放される。
居間と私の部屋のコートへの窓は床まである。 プロバンス風とでもいうべきデザインか。 sketch_017_01.gif

後で聞けば奥さんがインテリア関係のジャーナリストで、自らデザインしたらしい。
白が基調のインテリア、ソファーのカバーはベージュ地にくすんだピンクの花柄。
馬小屋特有のRの付いた腰壁をそのまま使っているし、 下地の木の間柱を歴史の証のようにポイント的に使っている等なかなかのものだ。
古さに新しい感性を巧く混ざり合わせている。 最後に来て最高の空間に出会えた。 en017_04.jpg

車を中庭のようなコートに止めて、荷物を下ろし、一息付いてからドンお勧めのパブへ。
教会の裏手にあり2・3分のところ。どういう訳か前に馬車が止めてあるそのパブは茅葺き(Thatch)でかなり古そう。
入口付近には何人か入りきれずに待っていた。
C・W・ニコルに似たオーナーにドンに勧められてやってきたむねを告げると 「30分してまた来てほしい。席を作っておくから」 ということだった。
このパブも中は男達やカップルの客で一杯だった。
例によって天井は低くて薄暗い。右手奥の方に厨房がL型につき出ていて、左手の庭も客席となっている。
暗闇の中で男達が地ビールをやっている。
厨房には3,4人。
木製のビールの樽。
内部を一通り目を通してから時間潰しの散歩に。

通りからそれとなく家の内部を覗く。人の姿が認められない。
皆さんパブにお出かけ?各家は道路沿いに建っていて、 面的な集落を作っているという訳でもないので行った道を戻つて来る。
過疎化が進んでいるが、この村は人口700人で小学校もあり、 元気がよい村のようだ。

パブに戻ると一番奥に席が作ってあり、他の4つの席はカップルとグループ客で埋まっていた。
娘はヒラメのムニエルにアップルジュース、私はニシンの薫製(Kipper)をグリルしたものと地のビール。
築600年のKing's Head(普通にはこのパブはLow Houseと呼ばれている。 )はイングランドで5番目に古いらしい。
テーブルやら椅子やら全てオリジナルかどうか解らないが、このパブで面白いのがベンチ。
入口のすぐ右に一部屋、ここで土地の男達がカードをやっていた。

玄関のある部屋と我々の席のある部屋の幾つかのベンチの背が、 人の高さほどある。
間仕切を兼ね、場を作っている訳だ。オーク材で作られている家具類は黒光りしていてる。
我々には珍しく新鮮だが、使い続けている彼等はどんなふうに思っているのだろう。
満席の状況はしっかり支持されているということで、オーナーの人柄・料理・ サービスと空間やしつらえの質が高いと言うことに違いない。

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