今日のスタートは蒸気船博物館から。
ウィンダミア湖畔の桟橋付きボートハウスに何艘もの蒸気船。
ハンドメイドの木造船と創成期の蒸気機関の取り合わせが楽しい。
100年も前に水遊びをするために作った小さなボートや、馬車を対岸に運ぶフェリーのようなもの、 クレーンのある運搬船も写真で見れる。

ここにある美しい造形は、労働のためのものではない。 多くのスポーツが生み出されたのもこの国である。
世界中から集めてきた富をベースに（もちろん自国でも作り出したけれど） 生活の楽しみを追求したということだろうか。
木製の微妙な曲面から白い煙突が突き出た姿は「マシン」 への純粋な情熱と愛情の発露のようで懐かしく、 ものづくりへの初心を思い出させる象徴のように感じられた。

ショップに蒸気船の美しい図面があり購入。聞けばこれらの図面でボートを作る人がいるそうだ。
高かった図面はうかつにもロンドンのホテルに忘れてきてしまい、送ってくれるよう頼んだけれどまだ届いていない。

この景勝地も鉄道が敷かれてリゾート地として人が集まるようになった。
そして今では最も人気の場所となっているようだ。
BLACK WELL (THE ART&CRAFTS HOUSE) は何処かの知事も務めた資産家の元別荘。
ウィンダミア湖を望む山の中腹にあるマナーハウスサイズの大きな建物だ。
一時女子校の寮になったりもしたらしい。
LAKELAND ARTS TRUSTが買って7億円を投じて改修したとのこと。
この建物は当時評判の若手建築家の手による作品。伝統からの離脱の試が随所に見られる。
マッキントッシュの影響も顕著。 新しいデザインへの試み、彫り物等の膨大な手仕事、表現は新しくとも支えるのは伝統的な表現力。

特に印象的だったのは、 ほぼ正方形の断面の廊下とその先の真っ白のサロン。
廊下は非常にシンプルなデザインだが、各木部に繊細な彫刻が施してあり、 全体に暗く天井高は抑えられている。
何かを期待させ予想させるデザインは、天井が高く庭への眺望を持った真っ白なサロンに入って、 予想していた何かを発見する。
今も立派に通用する空間である。歴史的という表現がいっさい必要無い、時代を越えた感性がある。
コンランがデザインしたようなオシャレなカフェで昼食。ショップもトイレもカッコよかった。

午後は蒸気船＆蒸気機関車のエクスカーション（小遠足）を楽しんだ。
湖からは先ほどのBLACK WELLが見れた。風景は素晴らしいの一語。
これまでの丘陵が主の風景と違ってここは山並でそれも人気の理由かも知れない。
それに建築や開発の規制がきっちり行われているのだろう。
対岸のレイクサイドから2つ先の駅まで歴史的蒸気機関車で往復。
車窓からの眺めもこれ又絵のよう。とにかく人工物において醜いものが極めて少ない。
規制以上の常識というか良識といったものが根ずいているのだろうか。
建築でいえばデザイン・素材の統一がなされていて、 異質なものが非常に少なく、自然になじむ天然材がほとんどのようだ。

夕食はスーパー‘BOOTHS’で調達。ビール、水、ハム、 チーズ、カップヌードル、サラダ、ラズベリー、ヨーグルトドリンク。
部屋の電気ポットはとにかくすぐに湧く。
ベッドにひっくり返って、ビールをのみカップヌードルをすすった。
外食する半分の予算で済んだ。